歯が小さい「矮小歯」。原因と治療法は?
こんにちは。綾瀬の歯医者、メリー歯科です。
「乳歯が抜けたのに、また乳歯みたいな小さな歯が生えてきた。」
「永久歯は生えそろったけど、一つだけ極端に小さな歯がある。」
時折親御さんから、このようなご相談を受けることがあります。
歯の大きさが極端に小さい歯のことを”矮小歯(わいしょうし)”といい、永久歯の形態異常の一つとして挙げられています。
矮小歯は基本的には特に治療をしなくても大きな問題はありませんが、見栄えが悪くなったり、噛み合わせが悪くなったりするケースもあります。
そこで本日は、矮小歯が発生した場合の対処法について詳しくご紹介していきたいと思います。
矮小歯(わいしょうし)とは
矮小歯とは、歯自体が通常よりも小さい歯のことを言い、その形状が円錐形のものを「円錐歯」、つぼみの形をしているものを「蕾状歯」と呼びます。
矮小歯の原因は、遺伝やビタミンDの不足、歯の退化現象などともいわれておりますが、はっきりとした原因はわかっておりません。
上顎の側切歯(前歯中央から2番目の歯)や上下顎の親知らずに発生するケースが多く、過剰歯として発現するケースも多くあります。
矮小歯が問題になるケース
矮小歯は、機能的に問題がなければ特に治療をする必要はありません。
ですが、長い目で見ると、治療をしておいた方が良いケースもあります。
噛み合わせのバランスが崩れる
歯の噛み合わせは、左右対称で上下の歯がしっかりと噛み合うことが理想的ですが、歯列の中に一つだけ大きさの小さい歯が存在すると噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。
噛み合わせのバランスが崩れると、片側の歯ばかりで噛んでしまう噛み癖がついて顎関節症になってしまったり、左右の筋肉バランスが非対称になり顔や表情が歪むなどの症状が出ることもあります。
また、噛む筋肉が不均等になることで頭痛や肩こりなどの症状が見られることもあり、口の中だけでなく全身にも影響を及ぼす可能性もあります。
すきっ歯(空隙歯列)になる
矮小歯があること、隣の歯との間に隙間が出来てしまいます。
矮小歯は前歯に発生することが多いため、すきっ歯となって審美障害を引き起こすほか、歯と歯の間か息が漏れ出るので発音が不明瞭に聞こえたり、タ行やサ行が発音しにくいなどの症状が出ることもあります。
また、歯と歯の間に隙間ができるので汚れ食べかすが詰まりやすく、また歯ブラシやフロスも行き届かない傾向があるため、虫歯や歯周病のリスクも高まる傾向があります。
見た目に問題がある
矮小歯は本来の歯の形や大きさとは異なるため、歯列の中に混じるとその部分だけが目立ち、奇異にうつってしまうことがあります。
また、歯が小さいために歯茎が過剰に見えてしまい、いわゆる「ガミースマイル」に見えてしまうこともあります。
機能的に問題がなくても、審美的な問題が生じることにより、それがコンプレックスとなってうまく笑えなくなってしまったり、消極的になってコミュニケーションに障害が出てしまうこともあります。
歯の寿命が短く、治療法が限られている
矮小歯は、歯が小さいだけではなく歯根の長さも短いため、他の歯に比べて弱く寿命も短い傾向があります。
そのため、ブリッジや部分入れ歯の支台歯などの歯の強度が求めらるような治療には、耐久性の問題から適用できない場合もあります。
また、歯周病や加齢などで歯茎が下がってきてしまった場合に歯がぐらつきやすく、比較的早期に失われてしまう傾向があります。
矮小歯の治療法
矯正治療により隙間を閉じる
矮小歯が原因で歯と歯の間に隙間ができている場合、矯正治療で歯を動かして隙間を改善する方法があります。
上下の噛み合わせや歯並びのバランスに問題がない場合はそのまま並べることもできますが、歯並びがガタガタで乱れているような場合などは歯列不正の程度によっては抜歯して矯正治療を行うこともあります。
矯正治療を行う上での抜歯は、通常であれば小臼歯が第一候補となりますが、矮小歯がある場合は矮小歯を抜歯して治療を行っていきます。
補綴治療で歯の大きさを修正する
矮小歯があることで審美的な障害を生じている場合は、補綴物によって歯の形態を修正する治療を行うこともできます。
補綴物にはいくつか種類があり、それぞれメリットデメリットがあります。
レジン:
レジンとは歯科治療で使用される白色のプラスチック樹脂の材料です。
ペースト状の材料を直接歯に盛り足して特殊な光を当てることで固めることができるため、型どりなどの必要もなく、比較的安価に治療を行うことができます。
しかしながら材料がプラスチックであるため耐久性が低く、経年劣化によって変色することもあります。
セラミック冠:
レジンよりも耐久性が高く経年劣化もしにくい治療法として、セラミック冠による治療が挙げられます。
セラミックによる治療は保険適用が出来ないため費用は高くなってしまいますが、セラミックはプラークが付きにくく清掃性が高いため、虫歯や歯周病などのリスクは抑えることができます。
当院では、従来のセラミックよりも強度が高く透明感のある「ジルコニア」を使用したジルコニア冠による治療を行っています。
まとめ
矮小歯は、その歯自体が問題となることはあまりありませんが、大きさが小さいことにより全体的な歯並びや審美的・機能的に問題が生じてしまう場合もあります。
虫歯や歯周病のように早急に治療が必要という訳ではありませんので、特に何も対処せずに放置している人も多いかもしれません。
しかしながら上記のように将来的に生じるリスクもありますので、歯の状態や今後のリスク・問題点を把握したうえで、今後治療を行うべきかどうかも含めて歯科医師と相談するとよいでしょう。
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