歯の汚れが命を危険にさらす!?誤嚥性肺炎について
こんにちは。綾瀬駅前のメリー歯科です。
「歯の汚れが命を危険にさらす」そう聞いても、なかなかピンとこない方が多いかもしれません。
現在の日本では、65歳以上の高齢者の死因の第4位が「肺炎」と言われています。
肺炎は、細菌やウイルスが体に入り込んで肺に炎症を起こす感染症です。
細菌やウイルスは私たちの身近に存在していますが、普段は免疫力が充分にあるために影響を受けずに済んでいます。
しかし、免疫力が低下してしまうとウイルスに対する抵抗力が弱まり、感染しやすくなってしまうのです。高齢になったり、持病の悪化や体調不良をきっかけに肺炎に感染するケースが多いのもそのためです。
このように、肺炎はちょっとした気のゆるみで誰にでも罹ってしまう可能性のある病気ですが、実はこの肺炎と歯の汚れには密接な関係があるのです。
誤嚥性肺炎とは
食事をしている時、食べ物や飲み物が気管に入ってむせ返ってしまうことがありますが、この状態を「誤嚥(ごえん)」と言います。
誤嚥が起きるのは必ずしも食事中とは限らず、会話中に唾が気管に入ってしまい咳き込んでしまうのも誤嚥の一種です。
通常は誤嚥をしたところで、むせて食べ物や唾などの異物を吐き出すぐらいで済みますが、体力が落ちていたり器官が弱っていたりすると、吐き出せずに肺に入り込んでしまう場合があります。
それでもまだ、異物が清潔ならあまり問題にはなりません。
ところが、飲み込んだものが汚れていたり、その人が歯磨きを怠っているなどでお口の中に細菌が繁殖している状態の場合、その異物に細菌が付着した状態で肺に運ばれてしまいます。
このとき、身体の免疫力が低下していると、細菌に対抗できずに肺炎を発症してしまいます。
これを「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」と呼びます。
誤嚥性肺炎は高齢者の病気?
「誤嚥性肺炎なんて高齢者の病気では?」と思っていらっしゃる方も多いかもしれません。
誤嚥性肺炎は確かに高齢者に多い病気ですが、だからと言って高齢者だけの病気ということではありません。
20代の若い方であっても誤嚥性肺炎を起こす可能性は充分にあり、事実、若年層の誤嚥性肺炎の発症率は年々高くなっているそうです。
原因としては、泥酔した状態でそのまま寝てしまう、よく噛まずに早食いをする、といった習慣に関わるもののほか、口内炎や歯周病、虫歯、扁桃炎、咽頭炎など、口やのど、食道などの疾患や障害が原因となっているケースもあります。お口の中に強い炎症が起きると食べ物が飲み込みづらくなり、誤嚥のリスクが生じてしまうためです。
またさらには、ストレスなどの心理的な要因が関連している可能性もありますので、若いから大丈夫!と油断せずに日々予防を心がけることが大切です。
誤嚥性肺炎を予防するには
口やのど、食道などの疾患を取り除く
口やのど、食道などの疾患や障害が原因となっているケースの場合は、まずその原因となっている疾患を治すことが必要です。
歯科領域においては虫歯や歯周病のほか、口内炎もその原因となります。
口内炎は通常、1週間程度で自然治癒することがほとんどですが、2週間以上たってもよくならない場合や痛みがひどい場合、症状が繰り返して起こる場合は、口腔がんなどの他の病気の可能性も考えられます。
口の中に異常がある場合には、なるべく早めに歯科医院で診てもらうようにしましょう。
お口周りの筋肉(特に飲み込む力)を鍛える
口腔機能が低下すると、食べ物や細菌などが誤って気管に入りやすくなり、その結果、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
そこで、お口の周りの筋肉と舌の筋肉を鍛えることで、誤嚥を防ぐことがポイントになります。
あいうべ体操
あいうべ体操とは、福岡県のみらいクリニック院長の今井先生が考案されたお口のトレーニング方法です。
あいうべ体操は主に口呼吸の改善のためのトレーニングとして考案されたものですが、お口周りの筋肉が鍛えられますので誤嚥性肺炎の予防にも効果的です。
また、お口周りや舌の筋肉を動かすことによって唾液が出やすくなりますので、嚥下もしやすくなります。
あいうべ体操のやり方
あいうべ体操のやり方は、次の4つの動作を順にくり返します。声は出しても出さなくてもかまいません。
(1)「あー」と口を大きく開く
(2)「いー」と口を大きく横に広げる
(3)「うー」と口を強く前に突き出す
(4)「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
(1)~(4)を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けます
口の中を清潔にする
お口の中にある細菌の数が多ければ多いほど、誤嚥が起こった時に肺や気管に入る細菌の数も多くなり、炎症を引き起こしやすくなります。
歯周病を放置していたり口腔ケアを怠っている人の場合、多くの菌が口の中で繁殖しています。
そのお口から食べ物が入り、お口の中の細菌とともに誤って気管や肺に入ってしまった場合、誤嚥性肺炎の危険性が高くなります。
口腔内の環境を整えることで、誤嚥性肺炎の危険性も下げることが出来ますので、しっかりと歯みがきなどの口腔ケアをしてお口の中の菌を減らしていきましょう。
免疫力を高める
免疫力の低下を防ぐためには、規則正しい生活をして、栄養のある食事をすることが大事です。
特に、肉、魚、大豆といった良質なたんぱく質を摂取することが、免疫力アップにつながります。
また、適度な運動を行うことも免疫力を高めるのに有効です。
最近では外出自粛やテレワークなどにより生活リズムも崩れ、運動不足になっている方も多いかと思いますが、運動不足は体力の低下を招き、肥満や生活習慣病の原因にもなりますので注意が必要です。
感染症を恐れるあまり外に出ないという考え方もありますが、運動不足から免疫力が低下すると感染症にかかりやすくなってしまうという悪循環に陥りかねません。ご自宅でできる簡単なエクササイズも上手に取り入れながら、積極的に体を動かすようにしましょう。
コロナ禍の今こそ、誤嚥性肺炎に注意を
大規模災害時には、避難生活の中で口腔内の清掃状態悪化、体力・免疫力低下などから誤嚥性肺炎で亡くなる方が多くいらっしゃいます。
1995年の阪神大震災では、長引く避難生活で体調が悪化して死亡する、いわゆる「震災関連死」に認定された人は900人以上にのぼりましたが、そのうちの約4分の1を占めたのが肺炎だったことから、徹底した口腔ケアによる肺炎予防が災害時の重要課題として叫ばれるようなりました。
その後「口腔ケアを徹底すれば誤嚥性肺炎の発症率を減少させることができる」との認識が広まり、2004年の新潟県中越地震などでは徹底した口腔ケアが実施され、口腔ケアによる肺炎予防の効果が証明されています。
コロナ禍の今、感染リスクを懸念して歯科医院の受診を控えている方もいらっしゃるかと思いますが、コロナ禍の今だからこそ、ご自宅でのケアをいつも以上に念入りに行っていただくとともに、歯科医院もうまく利用しながらお口の中を清潔に保つことを心がけていただければと思います。
綾瀬駅前の歯医者さん メリー歯科:https://www.merrydental.net/
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