歯科治療を中断するリスクと、コロナ禍における口腔ケアの重要性
2021/06/30
こんにちは。綾瀬駅前のメリー歯科です。
新型コロナウィルス感染が騒がれている昨今、感染リスクが心配で歯科医院への通院を躊躇されたり、ご自身の判断で治療を中断してしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
不要不急の外出が制限される中、歯科医院においても、ホワイトニングなどの審美目的に治療に関しては控えた方が良いかもしれません。しかしながら、虫歯治療や歯周病治療など、ほとんどの治療は不要不急の治療には当てはまらず、不適切なタイミングで中断してしまうと、よけいに歯を悪くしてしまったり、最悪の場合抜歯をしなくてはいけない状況になってしまうこともあります。
ここでは、歯科治療を進めていくうえでの中断しがちなタイミングと、コロナ禍での口腔ケアの重要性についてご紹介していきます。
中断しがちなタイミング
根管治療中の中断
根管治療は歯科治療の中でも特に根気のいる治療のため、治療期間もどうしても長くかかってしまいます。
特に歯の神経を取った後は痛みを感じなくなるため、そのまま治療を中断してしまう方も多い傾向にあります。
しかしながら、痛みがなくなった後でも根の中には細菌や感染物質が残っています。
一般的に根管内の消毒に使用される薬の抗菌効果は約4週間が限度、また根管治療中に仮の蓋として使われる材料の耐久限度が約2週間とされていますので、それ以上に間隔をあけてしまうと歯の中で菌が侵入・繁殖してしまい、虫歯が急速に進行したり、根っこの先に膿が溜まりやすくなります。
さらに神経を取った歯は痛みを感じませんので、気付かないうちに虫歯が進行していて、治療再開時にやむなく抜歯という事も少なくありません。
被せ物などの型を取ったまま放置・中断
被せ物の型を取った後でも、歯はお口の中で移動したり摩耗などで形が変わったりしていきます。
そのため、より精度の高い治療を行うには、型を取った後になるべく時間を開けずに被せ物を取り付ける必要があります。
型どり後に治療を中断してしまうと、せっかく作った被せ物がずれて適合しなくなり、調整に余分に時間がかかったり、作り直しをしなければいけなくなったりします。
そうすると通院回数も増えまてしまいますし、費用も追加で発生してしまいます。
仮歯のまま放置・中断
仮歯・仮詰めが入ると、見た目も機能も回復したように感じるため、そのまま治療を中断してしまう方もいらっしゃいます。
しかし、仮歯・仮詰めはあくまでも一時的な使用が目的で、そのまま長期的に使い続けられるほどの耐久性はありません。また、次回の治療がしやすいよう外しやすく施術されているので、歯との隙間が大きく、だ液や細菌が侵入しやすい状態にあります。
さらに、プラスチック製の仮歯は摩耗しやすいため、長期間使用するとそのすり減った部分を補正するように隣の歯や咬み合う歯が移動してしまいます。そうなると、治療再開時には隣の歯や咬み合う歯が移動した量だけ追加で歯を削る必要があり、特に歯の神経をギリギリで保存した場合などは神経を残せなくなってしまうこともあります。
歯周病治療を中断
歯周病の治療は虫歯の治療よりも回数がかかることが多く、また元々患者さんご自身では痛みを感じていないことが多いので治療の必要性をうまくご理解頂けていないと通院が面倒になってきてしまうこともあります。
ですが、歯石が少しでも残っていると歯周病の進行を止められないだけでなく、約2ケ月放置することで治療前の状態に戻ってしまう可能性がありますので、完全に口の中から歯石を除去する必要があります。
一度歯周病治療を終えれば、少ない負担のPMTCで口腔内の健康を管理していくこともできますので必ず最後まで治療を終えて下さい。
当院では、歯周病の素である菌やカビを内服薬で一掃する歯周内科治療も行っております。
通院回数も少なくて済みますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
応急処置で治療を中断
虫歯が進行してしまい痛みが強く出ているような状況の場合、いきなり治療を開始するのではなく、歯の神経を鎮静させるための薬を入れ、しばらく様子を見ることがあります。
薬の効果で一時的に虫歯の痛みが弱まり、穴もふさがった状態になるため、虫歯が治ったように感じるかもしれません。
ですがこれは薬の鎮静作用により自覚症状を抑えているだけで虫歯が治ったわけではありません。内部にはまだ虫歯が残っていますので、この状態で放置してしまうと、虫歯の悪化を招き、その後の通院回数や治療費が大幅にアップします。
また歯茎が腫れて痛む場合も、応急処置として歯の周囲を洗浄したり膿を出すために歯茎の一部を切開するなどの処置が行なわれます。
この場合も、応急処置により一時的に症状は改善しますが、原因となっている汚れや細菌など塊は歯茎の内部にそのままになっているため、しばらくすると前よりももっと腫れることもしばしばです。
応急的処置を繰り返すだけでは状態がだんだん悪化する場合も多く、後々のデメリットを大きくする可能性もあります。
コロナ禍だからこそ、口腔ケアはしっかりと
従来より、歯周病がウイルスや細菌の感染リスクを高めるということは歯科医師にとっては常識とされ、その証拠とされる研究データも数多く存在しています。
新型コロナウイルスもウイルスによる感染症ですので歯周病との関連については注目されており、最近では世界各国で新型コロナウイルスと歯周病の因果関係について研究結果が報告されるようになりました。
なかでも2020年7月に英国の医学雑誌に掲載された研究報告では、コロナウイルスの重症化リスクを高める要因に、歯周病菌などの口腔内細菌が大きく関係していることが発表されました。
こちらの研究チームの調査では、新型コロナウイルスで亡くなった人の口腔内環境を調べると歯周病菌が大量に見つかったそうです。
この結果から、歯周病菌が出す毒素や酵素が身体の中で粘膜を傷つけてウイルスが侵入しやすくなっていたり、歯茎の炎症そのものがウイルス感染を促進する要因になるため、重度歯周病の人が新型コロナウイルスに感染した場合、新型コロナウイルスの重症化リスクが高まる可能性があるとの見方が強まっています。
「歯科医院は感染リスクが高いから行きたくない」と思っている方もいらっしゃると思いますが、治療を放置したり、口腔ケアをおろそかにしてしまうことのリスクも多々ありますので、ご自身の判断で治療を中断したりせず、通院に不安がある場合は必ず歯科医師と相談して決めるようにしましょう。
当院では、新型コロナウイルスから患者さんを守る努力を全力で行っております。
当院での新型コロナウイルス感染対策について、詳しくはこちら
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