妊娠中の歯周病は胎児へ影響する?妊娠性歯肉炎のリスクや対策について

      2024/09/20

こんにちは、綾瀬駅前の歯医者、メリー歯科です。

「妊娠してから、歯磨きをすると血が出るようになった」
「歯ぐきの色が赤黒くなってきた気がする」

妊娠中の方で、そのような自覚症状がある場合、それは妊娠性歯肉炎かもしれません。
妊娠性歯肉炎は妊娠中の女性によくみられる歯肉炎のことです。その症状や原因、リスク、予防法や対策について解説します。

 

妊娠性歯肉炎とは

妊娠性歯肉炎とは、妊娠中の女性に起こる歯ぐきの炎症です。
一般的な歯肉炎と同様に、歯ぐきの腫れや赤み、歯ぐきからの出血といった症状が起こります。また、妊娠性歯肉炎の場合には、歯ぐきが部分的に腫れることがあるほか、症状の進行が早いことが特徴として挙げられます。

妊娠性歯肉炎は、そのまま症状が進行すると、歯周炎になります。
歯肉炎と歯周炎の違いは、歯肉炎が歯ぐきのみの炎症なのに対し、歯周炎は歯を支えている骨にまで炎症が広がり、骨を溶かしてしまうことです。
そうなると、歯がぐらぐらと揺れる、物をかむと激しく痛む、口臭がひどくなるといった症状が出るようになり、さらに悪化すると歯が抜け落ちてしまいます。

 

妊娠性歯肉炎の原因

では、なぜ妊娠中は歯肉炎になりやすいのでしょうか。
それにはいくつかの原因が考えられますが、まず挙げられるのは妊娠中のホルモンバランスの変化です。
妊娠中は、エストロゲンとプロゲステロンと呼ばれるホルモンが急激に増加し、それらを栄養源とする歯周病菌が活性化します。
そのため妊娠中は歯肉炎になりやすく、妊娠前に歯周病だった方は症状が悪化しやすくなるのです。

つわりによる体調不良や、歯ブラシを口の中に入れることへの気持ち悪さにより、セルフケアが思うようにできなくなってしまうことも、妊娠性歯肉炎の原因です。
セルフケアが十分にできず、お口の中の汚れをきれいに落とせないことで、歯周病や虫歯になりやすくなります。
また、つわりが原因で食事の回数やタイミングが不規則になることも、妊娠性歯肉炎のリスクにつながります。
つわりは、一般的に妊娠初期から12週ごろに起きやすいため、妊娠性歯肉炎もこの時期に発症・進行しやすくなっています。

そのほかの原因としては、ホルモンバランスの変化による唾液量の減少が挙げられます。
唾液は口の中の汚れを洗い流す作用や細菌を減らす作用を持っていますが、唾液量が少なくなってこの作用が得られにくくなることで、歯周病菌が繁殖しやすくなってしまいます。

 

妊娠性歯肉炎によるおなかの赤ちゃんへの影響

早産

妊娠性歯肉炎は、早産につながる可能性があるとして日本を含めた各国で研究が行われています。
明確な結論には至っていないもののその関連性やリスクは報告されており、赤ちゃんの健康を守るためにも妊娠中の口腔衛生の維持は重要だといえます。

 

低体重児

早産と同様に、低体重児出産も歯周病と関連があるといわれています。
低体重児は出生後に医療ケアが必要になることが多く、発育・発達の遅延や障害のリスクがあります。

 

女性は骨粗しょう症にも注意が必要

骨粗しょう症は、骨の代謝バランスが崩れて骨がもろくなってしまう病気です。
骨芽細胞を活発にするエストロゲンというホルモンが閉経後に少なくなるため、特にご年配の女性の方の発症リスクが高くなっています。

この骨粗しょう症に関しても、炎症反応を促進する働きを持つ炎症性サイトカインが骨形成を抑制する作用を持っていることや、エストロゲンが減少するために歯を支える骨も弱くなることなどから、歯周病との関連が指摘されています。
前述したように、発症リスクが高くなるのは閉経後ではありますが、それまでに歯周病を患っていると閉経後にさらに歯周病の進行が進みやすくなるため気を付けなくてはなりません。

そのほか、糖尿病、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞、関節リウマチなども歯周病との関連が指摘されている病気です。
特に糖尿病は、歯周病の合併症の一つとしてとらえられており、二つの病気には相関関係があることがわかっています。

 

妊娠性歯肉炎の予防法・対策

歯磨きなどのセルフケアをしっかりと行う

何よりも大切なのは、歯磨きなどのセルフケアをしっかりと行うことです。
しかし、つわりによってそれが難しい場合も多いかと思います。そのようなときは、以下のことを試してみてください。

  • 体調がいい時を見計らって歯磨きをする
  • 子ども用のヘッドが小さい歯ブラシを使う
  • 低刺激の歯磨き粉を使用する
  • 歯磨き粉は使用しない
  • 歯磨きができない場合は、口をゆすいだり水を飲んだりする

歯磨きをする際は、歯ブラシを小刻みに動かし、優しく丁寧に磨きましょう。
また、歯を磨く際に出血があるかもしれません。その場合も、ほかの箇所と同様に優しく丁寧に磨くことが大切です。
血が出ているからといってそこだけ磨くのをやめたり、反対に力強く磨きすぎてしまったりすると、炎症の悪化や歯ぐきへの傷につながります。

 

歯科医院でクリーニングを受ける

歯垢や歯石をしっかりと落とすことが、妊娠性歯肉炎を悪化させないためには大切です。
つわりなどで日々のセルフケアが難しくなっている方はもちろん、そうでない方も、妊娠中に一度は歯科医院を受診し、お口のチェックとクリーニングを受けましょう。

妊娠中の歯科医院の受診は、安定期に入る妊娠5カ月から8カ月の間が望ましいとされています。
この時期であれば、虫歯や歯周病の治療を受けることができます。妊娠初期や後期はリスクが高いため、応急処置のみの対応となることがほとんどです。

また、妊娠前から出産1年後くらいまでの方を対象に、マタニティ歯科を行っている歯科医院も増えてきています。
治療内容は基本的には通常と変わりませんが、妊娠中から出産後の口腔ケアに関するアドバイスや相談をより深くできます。
妊娠前にお口の治療を済ませておくことで妊娠中のトラブルも避けやすくなりますので、妊娠を控えている方は一度歯科医院を受診しておくことをご検討ください。

 

水分をしっかりとる

妊娠中は唾液の量が少なくなるため、口内を乾燥させないよう水分をしっかりととるようにしましょう。
ミネラルウォーターやカフェインを含まないお茶などがおすすめです。また、唾液の分泌を促すために、キシリトール入りの無糖のガムをかんだり、唾液腺のマッサージをしたりするのもいいでしょう。
唾液腺は、耳の下側の付け根、顎骨の下方、舌の下方に位置しており、これらを軽く圧迫するようにマッサージします。

 

まとめ

妊娠性歯肉炎は、妊娠される方の約半数が患うともいわれています。
妊娠をされている方であればどなたでも発症する可能性があるものではありますが、その後の健康や赤ちゃんへの影響もありますので、「妊娠中だから」とあきらめず、安定期に入ったら歯科医院を受診するようにしましょう。
また、出産後は、赤ちゃんと箸やスプーンの共用はせず、口移しなども控えることが大切です。

 



綾瀬駅前の歯医者さん メリー歯科:https://www.merrydental.net/

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