歯並びが悪いってどういうこと?不正咬合について

      2024/05/21

こんにちは、綾瀬(葛飾区)の歯医者、メリー歯科です。

アメリカでは、社会的地位のある人がほぼ全員と言っていいほど美しい歯並びを維持している事は、もう既に皆さんご存知の通りだと思います。

最近は日本でも、歯並びに関する意識が高まって来ているように思いますが、中には、一見きれいな歯並びに見えても、実は上下の歯が噛みあっていない、というケースも見かけます。

今回は、「歯並びが悪い」というのはどういう事か、その症状をご紹介させて頂きたいと思います。

不正咬合とは

「歯並びが悪い」という事を、専門的には「不正咬合」と言いますが、不正咬合にはいくつかの種類があります。

不正咬合の種類

  • 叢生(そうせい)
  • 過蓋咬合(かがいこうごう)
  • 反対咬合(はんたいこうごう)
  • 開咬(かいこう)
  • 上顎前突(じょうがくぜんとつ)
  • 上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)
  • 正中離開(せいちゅうりかい)
  • 交叉咬合 (こうさこうごう)

 

1、叢生(そうせい)

叢生とは、上下の歯が前後に重なり合て並んでいるため、ガタガタになってしまっている歯並びのことを言います。

八重歯などもこの一種で、原因としては、歯の大きさに対しての顎の大きさが小さすぎるため、歯が並ぶスペースが確保できずに前後にずれて歯が生えて来てしまうことが原因となります。

成人の場合、一般的には、歯を抜いて、歯がしっかりとキレイに並ぶことが出来るスペースを確保した上で矯正治療を行いますが、子供の頃に顎の大きさを広げる治療を行っていれば、ある程度防ぐことは出来ます。

 

2、過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合とは、噛み合わせが深く、奥歯で噛んだ時に上の前歯が下の前歯の大部分を覆っている場合を言います。
重度の場合、下の前歯が上の前歯の裏側の歯肉を噛んでしまい、歯肉を傷つけてしまうケースも出てきます。

 

3、反対咬合(はんたいこうごう)

過蓋咬合の一種ですが、2、と違うのは下の歯の方が上の歯よりも前に出てくるという事で、一般的には「受け口」や「しゃくれ」などと呼ばれています。

反対咬合には、歯並びだけが問題のケースと、顎の大きさなどに問題があるケースが有りますが、この顎の骨に問題がある場合、子供の時に顎の成長をコントロールする矯正治療を受けていれば比較的安価に、短期間で治療が出来ますが、成人になってからの治療の場合、顎を切る外科的手術が必要になる場合もあります。

 

4、開咬(かいこう)

開咬とは、オープンバイトとも呼ばれ、上下の歯を咬み合わせたときに、奥歯は噛んでいるのに前歯や横の歯の間に隙間が開いていて、噛むことのできない状態を言います。
この状態では、上下の前歯がいつも接触できないために奥歯だけに常に負担がかかってしまいます。
また、前歯でかみ切るという機能が使えないので、咀嚼能力がかなり落ちてしまい、審美的問題点以上に、歯や顎、さらには全身の健康に悪影響を与えてしまうケースが多々あります。

開咬は、骨格的に問題があり、下あごの成長方向が、悪い人がなりやすい傾向がありますが、そのような両親からの遺伝や成長のアンバランスによるもののほか、指しゃぶりや舌の癖などの悪習癖や、鼻疾患による口呼吸などで生じることも多くあります。
そのため、矯正治療により物理的にはを動かすのと同時に、悪習慣が原因の場合は、その悪習慣を取り除く対策もしていく必要があります。

成人になってから治療を始めた場合、通常は奥歯(小臼歯)を抜いて治療をしますが、子供の頃に治療を行っていれば抜歯をせずに済む場合も多くありますので、アメリカ矯正歯科学会や日本矯正歯科学会では、7才までに専門医の診断を受けていただくことを推奨しています。

 

5、上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突(じょうがくぜんとつ)とは上の歯が下の歯よりも前に出すぎた状態のことで、いわゆる”出っ歯”と呼ばれるものです。
原因としては、先天的なもの、後天的なものに分けられ、

先天的理由

  • 遺伝的な要因で、上のあご全体が前に出ている
  • 遺伝的な要因で、下のあごが上のあごより小さい状態になっている
  • 歯の大きさのバランスが悪い

遺伝的な要因

  • 成長期でのおしゃぶり使用
  • 指しゃぶりや爪噛み、口呼吸等の生活習慣
  • 思春期の際の親知らずの萌出

といった要素があります。
上顎前突は見た目にも影響も非常に大きい事、また、子どもうちの治療を開始すれば歯を抜かずに治療できる可能性が高くなることから、7歳くらいまでには専門医を受診し、治療開始時期等についてご相談されることをおすすめします。

 

6、上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)

上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)とは一般的にはあまり聞きなれない言葉であると思いますが、上の前歯だけが出ているものを上顎前突(出っ歯)、下の前歯だけが出てるものを反対咬合(下顎前突・受け口)というのに対し、上の前歯の下の前歯も両方とも前に出ており、口元全体が前に突出しているように見える状態のことをいいます。

その原因として多いのは、叢生の原因と同じく、顎の大きさに比べて歯の大きさが大きいため、す顎の骨の上に歯が並びきれないという事です。
では、叢生と上下顎前突の違いは何かというと、唇から歯にかかる力が強いか弱いかの違いです。

叢生の場合は、歯が並ぶスペースを確保しようとして外側に向かっていこうとしても、舌や唇、頬に強く押されるために前後にずれて生えることになりますが、口呼吸をしているなど、普段から口を開けていることが多い場合、口の周り筋肉が弱まってしまいますので、唇から歯にかかる力が弱くなるため、前方に向かって歯が生えてしまうようになります。

それが、上下顎前突という症状となって現れるのです。

またその他の原因としては、あごの骨の奥行きが大きい、遺伝(顔の特徴・個性)による場合もあります。
いずれにしろ、どちらも成長に伴って見た目的にもより目立ってきてしまう事も考えられますし、歯並びのみならず全身の健康上、さまざまな弊害が出てしまいます。

 

7、正中離開(せいちゅうりかい)(すきっ歯・空隙歯列)

正中離開(せいちゅうりかい)とは、俗にいう”すきっ歯”と呼ばれるもので、前歯の真ん中にすき間がある場合を言います。

原因としては、

  • 上唇小帯(じょうしんしょうたい)と呼ばれる、上の前歯の真ん中から唇にかけて続くヒダ状の粘膜が長い。
  • 顎の大きさに対して、歯のサイズが小さいこと
  • 先天的に歯の本数が足りないこと
  • 過剰歯といって、真ん中の歯の間に本来ないはずの歯が埋まっていたりする場合

といった事が挙げられます。

こちらも、見た目の問題が大きい事と、隙間があることで、発音がしにくかったり、息漏れしたりするがある場合がありますので、早期にご相談されることをおすすめいたします。

 

8、交叉咬合 (こうさこうごう)

交叉咬合 (こうさこうごう)とは、”すれ違い咬合”や”クロスバイト”とも呼ばれるもので、上下の歯を噛み合わせた時に、上下の歯並びがどこか一か所で交叉している噛み合わせのことをいいます。
例えば、右上の奥歯は右下の奥歯のやや外側に位置しているのに対して、左の方は上の奥歯が下の歯の内側に咬み合わされている場合です。

正常な噛みあわせの場合は、奥歯でものを噛むと、上の前歯と下の前歯の中心(正中線)が一致していますが、交叉咬合の場合、この正中線が一致しなくなります。
原因としては、遺伝的傾向なもののほか、指しゃぶりやくちびるを噛んだり吸ったりする癖・頬杖等の習慣によるものがあります。

交叉咬合の場合は咬み合わせの悪さが問題となります。
正しく咀嚼ができずに咬む力が顎に均等に伝わらないため、顎の発達にも支障をきたしますし、それによって顎関節症を引き起こすし、頭痛・肩こり・腰痛などを招いてしまうこともあります。
交叉咬合の治療は、さまざまな不正咬合の中でも比較的難しいといわれていますが、矯正専門医による正しい診断と治療によって、十分に改善させることが出来ます。

 



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